神奈川県真鶴。伊豆半島の東側にあるとても小さな半島。その先端は原生林に覆われ、海に魚を呼ぶ森として手厚く保護されている。伊豆半島の付け根の東側にあるのが真鶴なら、西側にあるのが三島。真鶴から三島へは熱海の手前、伊豆山から山側へ登っていく。平面なマップで考えていたよりも、思いのほか細い急坂が続く山道で、普段、山梨で慣れてはいるけれど、初めての道で夕暮れということもあって不安が増していく。
木々の隙間からチラチラとだけ見える夕暮れの海。もう標高もだいぶ高いようだ。その途中でふと視界が開けた場所。それがあの土石流の跡だった。紀元前5〜4世紀頃から信仰されている伊豆山権現。その奥宮のすぐ横にメガソーラーを計画し、違法に盛り土をして28人が犠牲になった。
自然な森がしっかりと根を生やす山はそれほどは崩れない。根の周りの菌が土をしっかりと繋ぎ止めているかららしい。しかし、人工林になると菌の力は弱くなり、さらにコンクリートで造成すると地下水が滞留して菌は死んでしまう。生物が棲息できない死骸のような土はただ大雨で流されるのを待つだけの土塊。その上に有毒物質を含み、数十年後には有害な廃棄物になる太陽光パネルを並べて、「自然にやさしい・環境にやさしい」未来に残したい日本の風景は完成する。
伊豆山権現は古くから日金山に登拝する山岳信仰で、その足元の洞窟には走り湯という源泉が湧いている。箱根の火山と温泉、そして海の向こうに見える火山島。自然を畏れ敬い親しむ暮らしは、この場所で何千年も続けられてきた。環境保護をネタにして、その神域を破壊して金儲けを企む人たちに、自然を語る資格は全く無い。
